ICP質量分析 FAQ一覧 - PerkinElmer Japan

FAQ -ICP質量分析-

Q1. ICP-MSではFeやCaが干渉によって感度良く測れないと聞きましたが、どうなのでしょうか?

ICP-MSは質量数と電荷の比によって、測定対象元素を分別しています。例えばFeは質量数56の同位体が最も存在率が 高く、感度良く測定できるはずなのですが、質量数40のArと質量数16のOが結合して多原子イオンを形成し干渉するため、低濃度測定ができませんでした。このことは鉄やカルシウムだけでなく、セレンやヒ素など多くの元素で見られる現象です。 弊社のDRC(ダイナミックリアクションセル- ELAN DRCシリーズ に搭載)は、イオン源であるプラズマと質量分析部の間に反応セルを置くことによって、干渉を除去することができます。
その結果、今までのICP-MSでは考えられないような検出下限を達成いたしまし た。今まではコールドプラズマなどの手法が用いられてきましたが、この場合、酸などのマトリックスにより大きく干渉を受けます。DRCは反応セルを用いますので、プラズマ条件を変えることなく、高感度な一斉分析が可能です。

 

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Q2. ICP-MSでIPAなどの有機溶媒は導入できますか?

できます。
しかも、従来は有機溶媒に起因する多原子イオン、例えば 40Ar12Cにより52Crの測定が困難でしたが、 ELAN DRCシリーズに搭載のDRC技術によりArCのような干渉を完全に除去することができます。

 

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Q3. ICP-MSでFeやCaを測定するとき、マトリックスにより感度が低下するのでしょうか?

ELAN DRCでは従来のコールドプラズマのようにRF出力を600~700W程度に低下することなく、1500W程度のホットプラ ズマの状態でArOやArHなどの多原子イオンを除去し、56Feや39K、40Caなどの定量を行うため、マトリックスの影響が限りなく小さくなります。 例えば、弗化水素酸中のCaを定量する場合、難解離性のCaF2 が生成されるため、コールドプラズマでは硝酸ベースの検量線と比較し、かなり感度の低下が起こります。しかし、ELAN DRCではホットプラズマを用いるため、感度の低下はほとんど起こりません。
その他、硝酸やSiマトリックスなどについても同様な事が言えます。

 

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Q4. ダイナミックリアクションセルは多原子イオン干渉を除去するだけですか?

ダイナミックリアクションセルはICP-MSで問題となる多原子イオン干渉を克服するために開発された手法ですが、実際には多原子イオン干渉を除去するだけではありません。
ELAN DRCはホットプラズマ条件下で全ての元素の測定が可能な為、コールドプラズマのように添加回収率が低下することがありません。

 

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Q5. ELAN DRC ⅡとELAN DRC-eにはどのような違いがあるのですか?

ELAN DRC Ⅱは、半導体試料のような、より低濃度を高感度に測定したい場合に最適です。ELAN DRC-eは、環境試料の測定に適しています。それぞれ、測定試料に合わせた試料導入系を搭載するなど、各用途に最適な構成となっております。

 

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