JIS K 7123の比熱測定って何に気を付けるの?入力補償DSC編その2 | 熱分析屋さんのつぶやき - PerkinElmer Japan

JIS K 7123の比熱測定って何に気を付けるの?入力補償DSC編その2

お盆とトリプル台風を目前に熱中症の季節に更新のつぶやき 8 月号、年 3 回の更新だけだと、更新されずに放置しているwebと同じ様に感じていながら、そんなことを気にせず何事もなかったかの様に更新する熱分析屋さんのつぶやき筆者です。

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さて,やっと比熱容量測定の解決編です。
筆者の場合、DSC 測定前に高分子の比熱をセラミック x 1.5くらいとして室温の比熱を予想しています。熱流束 DSC のリファレンスのアルミナの質量(使う場合)って 1.5~2 倍くらいにしています。
リファレンスは空パンしか使わない比熱測定で問題になるのは試料の熱伝導ですよね...バランスが崩れてって話は熱流束 DSC の比熱の回で紹介しちゃいました。最近の高機能性材料って熱伝導が非常に悪い材料も多いです。筆者も以前は比熱がうまく測定できない!なんてことは当たり前でした。

今回は入力補償DSC編なので、一般的な測定法と異なる考え方も取り入れちゃいます。入力補償DSCの場合、一概に熱伝導のよい試料容器が最適とはいえないんですよね。
比熱測定=熱伝導の良い容器で、が常識...よく考えると DSC って試料全体の熱容量を測っています。ΔQ=m Cp dT / dt です。測定環境から考えると DSC の比熱のもともとの式って試料だけじゃなくって容器も込み。
筆者は熱抵抗やらいろいろ考えた末にもっとも簡単な測定法、熱伝導の悪い試料の測定では試料よりも熱容量がかなり大きい試料容器を使うに辿りつきました。


図1 アルミニウム製容器を用いた比熱測定


図2 ステンレス容器を用いた比熱測定

図1 はアルミニウム製容器、図2 はステンレス製容器で同じ試料を測定したときの結果です。図1 の等温→昇温・降温の青矢印と図2 の緑矢印って最終的に行き着く先はどちらも赤矢印。赤矢印に到達するまでの青と緑の矢印って熱抵抗とか熱伝導率の影響で傾きが変わります。図1a と b、c の矢印はあまり変わらないのに、図2a と b、c の傾きが変わります。熱伝導がいい試料では問題ないですが、熱伝導の悪い試料の場合、試料とサファイアの勾配が違いすぎて数値がうまく求められないってことになります。試料より容器の熱容量が十分に大きいとその勾配差を気にしなくてもよくなります→比熱が求めやすいってことになります。

この方法の問題は...
比熱容量は求めやすいけれど、熱異常(ピーク)がずれる。
JIS 掲載の方法などと違い、一般的ではないのでなかなか信用してもらえない。
がんばっても熱量計の比熱の誤差領域にはたどり着けない。

など、弊害もいっぱいです。いろいろと数式で示せるのですが、そんなことをやって主張したところで意味がないので。実際には熱容量の大きい試料容器で測定して確認したあと、JIS に記載された方法をの結果を示すなんてこともしています。筆者の様にマニアの領域まで落ちると DSC の原理に基づいた入力補償 DSC にしかできない考えかたできるので面白いと感じたりしてしまいます。

 

比熱を考えはじめると、熱分析のベースラインが見えてくるので不思議です。もし、興味ある人はぜひトライしてみてください。
※今回のデータは第3回熱分析討論会の発表の内容の一部を使っています。


図3 容器の種類に関係なく、こんなにピタッときます。

 

最近マニアックな話が増えたと指摘を受けてます。猛省してます...次回から方向転換。もとのつぶやきに戻しますね。

では次回の9月号、その次の12月号でお会いしましょう。熱中症には十分気を付けて。

 

 

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