ICP発光の細かい使い方講座2 ~測定波長の選択と分光器パージ~ | ICP-OESラボのあれこれ | 無機分析ラボの日々のあれこれ - PerkinElmer Japan

ICP発光の細かい使い方講座2 ~測定波長の選択と分光器パージ~

 測定メソッドにいくつかある設定項目について解説するとともに、取り扱い説明書には書かれていない設定の理由に触れる、細かいところですが知っておきたい使い方講座 2 回目は、測定波長の選択と分光器パージについてです。

 

測定対象元素は決まっているけれども、測定する波長は決まっていない、ということが多いのではないでしょうか。ICP 発光は元素固有の発光スペクトルを測定することで定量しますが、元素によって分析できる発光線は複数あります。波長の選択は一言で言うと、測ってから考える、がベストです。なぜならば測ってみないと分光干渉があるかどうか誰にも分からないからです。
おススメは 1 元素につき 3 波長以上を測定します。有機溶媒測定や、すでに金属マトリックスであることが分かっている場合は、5 波長くらい測定しておくと良いでしょう。心配であれば高分解能モードを利用しておきます。

パーキンエルマーの ICP であればあとから波長選択はいつでも出来ますので、とりあえず 3 波長は測定しておいて、判断できなければ測定後に波長を追加するのも手です。測定して得られたスペクトルを標準液とサンプルとで重ね書きをします。発光スペクトルの形状が標準液とサンプルとで一致していれば分光干渉はないと考えて良いでしょう。ただ、完全に分光干渉が重なっている場合もあります。そのときは違う波長と定量値を比較します。3 波長ともに定量値が一致していれば、分光干渉は問題ないと考えられます。
ただし、イオン化干渉や物理干渉がないとは言えません。定量値が確からしいかどうかは添加回収試験が手軽な方法です。分光干渉がないことを確認したうえで、添加回収試験を行う、ということが重要です。分光干渉があると添加回収試験をしても標準添加法を実施しても意味がありません(分光干渉している量も定量値に上乗せされます)。発光線の重なりが強いと 1 本のピークに見えてしまうケースもありますので、その際には高分解能モードが有効になってきます(次回記事で紹介予定)。

 

 また測定波長域が 190 nmよりも短い発光線を利用する場合、分光器パージが必要です。分光器パージをしてから測定をしないと微量域で測定ができません。また分光器パージが不十分だと測定値がばらつきます。もし 190 nm以下の測定で感度が出ない、とか、測定のばらつきが大きい、という場合は、分光器パージ時間を待ってみると良いです。190 nm以上の波長では分光器パージをしてもしなくても感度はあまり変わりません。ただ、分光器の状態を一定にするために、その日内ではどちらか(パージするかしないか)にしておくほうが良いと思われます。マルチシーケンス( 1 測定スケジュール内に複数のメソッドを自動利用する方法)を利用する場合は特にパージするかしないかを統一しておくと良いでしょう。分光器制御画面内では高パージ固定設定ができます。メソッドに依存せず常に高パージにしておきたいときなどに利用すると便利です。

 

次回は、「ICP発光の細かい使い方講座3~分解能の選択~」を予定しています。

 

 

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