熱分析関連図書(筆者推薦)| 熱分析屋さんのつぶやきの裏側 - PerkinElmer Japan

熱分析関連図書(筆者推薦)

熱分析とは
「熱分析 (thermal analysis: TA) 物質の温度を一定のプログラムによって変化させながら、その物質のある物理的性質を温度の関数として測定する一連の方法の総称(ここで、物質とはその反応生成物も含む)」とされる。(JIS K 0129 : 2005)

熱分析は、その応用範囲が広範であることから、基礎知識に必要な情報が装置原理、理論、材料特性など多様であるが、実際に熱分析を詳細に学ぶ機会も少ないのが実情ではなかろうか。ここでは、筆者がよく利用する参考図書を紹介する。

 

【原理,理論(絶版書)】

  1. 神戸博太郎,熱分析,講談社サイエンティフィック (1975)
  2. 斎藤 安俊,物質科学のための熱分析の基礎,共立出版 (1990)
  3. 神戸博太郎,小澤丈夫,新版 熱分析,講談社 (1992)

この3書は熱分析全般の理論を知るために最適と考えている。“熱分析”はその後の新版熱分析に続く。絶版となり、目にすることが少なくなりつつあることが残念な図書である。


【原理,理論(現行書)】

  1. 齋藤一弥,森川淳子,分析化学実技シリーズ (機器分析編13) 熱分析,共立出版 (2012)
  2. 吉田博久,古賀信吉,熱分析,講談社 (2017)

現行書としてこれらは絶版書の流れに近いと考えている。


【熱分析全般(絶版書)】

  1. 熱測定学会編,熱分析の基礎と応用,科学技術社 (1985)

熱分析全体を端的に記載しており、装置、理論、測定法、応用法の理解のきっかけを得やすい図書であった。出版社を変えながら3版まで出版されており、それぞれ内容が異なっていた。


【熱分析全般(現行書)】

  1. 熱測定学会編,熱量測定・熱分析ハンドブック,丸善 (2010)

全体のボリュームが大きく、内容検索に時間がかかるが、熱分析、熱量測定全般に渡る内容を網羅している。

 

【材料(絶版書)】

  1. 日本熱測定学会応用熱測定研究グループ編,応用熱分析,日刊工業新聞社 (1996)

サブタイトルにある通り、高分子・医薬・電子材料などの材料を熱分析でどのように扱うかが記載された数少ない改定出版が切望される図書。


【web】

webで検索できる熱分析の解説は、1980年に熱測定学会 熱測定誌に掲載された講座が参考にできる。

第1回
中川英昭,市原祥次,初心者のための熱分析 (1) DTA,DSC の原理と測定法,Netsu Sokutei, 7(1),p. 11, (1980)

第2回
畠山立子,初心者のための熱分析 (2) DTA,DSC の高分子,液晶物質などへの応用,Netsu Sokutei, 7(1),p. 18, (1980) 

など複数回に渡り、解説されている。“初心者のための熱分析”+“熱測定”で検索できる。

 

熱分析と総称されるDTA, DSC, TG, TMA, DMAは、測定技法も扱う(得られる)物理量も多様である。
これら熱分析で得た結果の理解には、基礎から応用法までの多岐に渡る熱分析の参考図書が必要であることも多く、今回掲載した参考書も選択肢の一つとして検討されたい。

 

 

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