JIS K 7123の比熱測定って何に気を付けるの?入力補償DSC編その2、の前のインジウム作らなきゃ | 熱分析屋さんのつぶやき - PerkinElmer Japan

JIS K 7123の比熱測定って何に気を付けるの?入力補償DSC編その2、の前のインジウム作らなきゃ

これまでの人生で3回しか引いたことのないおみくじの“凶”を正月早々2回続けて引くという、とても縁起のいい平成最後の年明けを迎えた熱分析屋さんのつぶやき筆者です。ちなみに以前引いた1回の凶は家族まとめて“凶”。“凶”は“強”運と信じて今年も更新していきます。
今年は1月、7月、11月を予定ですが、更新が止まっても、今年は凶2回だから仕方ない、で済ませてもらおうと...ではなくて、これからの熱分析屋さんのつぶやきはいろいろな都合もあり、これまで通りの“つぶやき”と“つぶやきの裏側”の2本立てにしていくので。


写真  凶のおみくじ...

 

※※筆者からの告知※※
3月の熱測定講習会@早稲田大学 みなさんの参加お待ちしています。今回の講習会は“材料”視点の熱分析です。詳しくは近日公開予定の申込ページでご確認ください。
※※最近のテレビにありがちな告知出演を真似てみました※※

 

今回は比熱の続きのはずでしたが、ちょうど何年かに一度のDSC校正用インジウム(In)調整のタイミングにあたりました。どんなタイミングでインジウムを作り直すか、どの様に作るか、作り直した後に何を確認するか、の回に変更しちゃいます。比熱の回だけ続けても面白くないし比熱の続きは次回(?)に...

 

さて、インジウム

インジウムは毎回作り直していますか?筆者はつぶやき第2回(温度が違う その1)のインジウムは数年に一回しか作り直しません。
作り直すタイミングは

  1. アルミ容器に入れて温度を上げ過ぎたとき
  2. 容器に入れてから 2~3 年経過したとき
  3. 容器を変形させてしまったとき

にしています。
今回はうまい具合に2 年経過と容器の変形が重なりました。きれいに使っていても、何年かすると少し気になる部分が出てきます...


写真 これまで使っていたインジウム

 

じゃあ、筆者が新しい校正用インジウムをつくるときは...
まず、作り方

  1. 2~2.5 mmφ にした 1.001~1.009 mg のインジウムを 5~10 個くらい作ります。
  2. 作ったインジウムを容器に入れて、蓋を被せます。
  3. 2. の容器を 160 ˚C にして蓋を軽く押し付けます。
  4. 3. の容器を取り出して、クリンプします。

これだとインジウムを綺麗に平らにできるのでお薦めです。
でも、1回の校正用インジウム作成でOKになることは皆無に近いです。

たくさん作った新しい校正用のインジウムはすべて古い校正用インジウムと比較して、

  1. 同じエンタルピーを示す。(ピーク面積)
  2. 同じ温度を示す。(融解開始、ピークトップ、融解終了)
  3. ピークの形が同じになるもの(これが曲者!
  4. 同じ試料のピーク形状、温度、融解熱の再現性

であればOKとしています。
金属融解の場合、融解開始温度と融解熱にほとんど差が出ない(図1)ので、筆者は特に3と4を気にしています。


図1 古い校正用インジウムと新しい校正用インジウムの融解

 

図1(緑枠)の古い校正用インジウムの融解と同じになるか確認するんですけど、一見どれも同じ...そこで、拡大(図2)しちゃいます。


図2 図1の拡大

 

図2で最も古いインジウムに近いものを新しい校正用インジウムにします。頑張ってたくさん作ったインジウムですけど、一番よさそうなインジウムと次によさそうなインジウムだけ残して、ほかのインジウムは捨てちゃいます。二番目のインジウムは予備じゃなくて、使いまわした時の確認用です。

インジウムをその都度作り直すのもいいですけど、この場合、温度精度を少し広めに考えてあげないとダメなので、筆者は好んで実施しないです。

 

さてさて、いつもは最後に次回のトピックの予告していたんですけど...もともと熱分析の裏側から書いてた「熱分析屋さんのつぶやき」と「熱分析屋さんのつぶやきの裏側」の2本立てにするので、「熱分析屋さんのつぶやき」は内容の予告なしにしようかと。

というか、今年は「熱分析屋さんのつぶやきの裏側」を中心にしてみます。

では、これからも「熱分析屋さんのつぶやき」と「熱分析屋さんのつぶやきの裏側」を宜しくお願いします。
次回、「熱分析屋さんのつぶやき」7月号でお会いしましょう。

 

 

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