マイクロプラスチックの世界を改めて考える | Stories - PerkinElmer Japan

マイクロプラスチックの世界を改めて考える

「聞いてるかい?たった一言、プラスチックだ。」「プラスチックにはとてつもない未来がある。」 1967 年の映画“卒業”の中で、ダスティン・ホフマンが知人に言われた言葉です。

この予測の半世紀後、科学者と環境問題研究者はプラスチックが自然界を脅かしているという深刻な提言をしています。この 50 年という短期間にプラスチックは世界中を席巻しました。事実、文字通り私たちは様々な有機ポリマーの恩恵に与っていて、だれも 1967 年代に戻りたいとは思わないでしょう。梱包材、バッグ、合成繊維のファイバーからペットボトル、化粧品、歯磨き粉に至るまでプラスチックとマイクロプラスチックは今や私たちの身体を含みあらゆる場所、物に存在します。1

プラスチックの問題

国際連合環境計画によると、プラスチックは世界中の海に多くあり、北極の海底にもある事がわかりました。水中に多量のプラスチックがあるのがわかったとはいえ、何かと比較することなくその量を推測するのは困難です。ただ、ここで言えることは、悪いことに 5 兆個以上のプラスチックの破片が現在この地球上を漂っており、その量は 800 万トン以上に上ることです。2 どのようにして、私達の日常生活の中からプラスチックが水に混入していったのでしょうか?難しく考えることはありません。トラックの荷台に積まれたタイヤや小さなプラスチックが毎日、毎分ごと海に投げ捨てられている様を考えてください。良い光景だとは言えませんね。もし私たちが早急に予防措置を取らないのであれば、2050 年までには毎分トラック 4 台分のプラスチックが海に捨てられ、このままでは大参事になるだろうと国連は警鐘を鳴らしています。3

あなたにとって身近な海の話は、より現実見があるでしょう。スコットランドの例では、有名なスペー川において少なくても魚 6 匹のうち 1 匹はマイクロプラスチックに汚染されていました。研究者が水質検査を行ったカナダ、アメリカ、イギリス、EU、また世界中のあらゆるところで同じ結果が出ています。4

マイクロプラスチックはどこから来るのでしょうか?アメリカ海洋大気庁の調査によると、世界中の産業廃棄物や不法投棄、洪水による流出を含む、色々なものからマイクロプラスチックが水に排出されています。原因の多くが化粧品や洗浄剤、日用品、工業研磨剤、製造で使われる樹脂ぺレットです。少し大きめのプラスチックは家庭用品や建築材、漁具などです。これらはやがて小さな欠片となり環境に紛れますが、無くなるわけではありません。小さくなり海洋生物や鳥類が摂食しやすい形で存在し続けてしまうのです。5

公衆衛生上の懸念

汚染は最悪な状態です。しかし私たちは、鳥や魚、貝がプラスチックを摂食しているという事実を知りました。プラスチックを摂食すると、消化系にとどまり病気の原因や死に至ることもあります。6 また、もっとたちが悪いのは、合成有機化合物または半合成有機化合物由来の小さな欠片が、何十億ものマイクロプラスチックとして私たちの食卓に届いてしまうことです。 ベルギーのゲント大学の研究者によると、ヨーロッパの人々は毎年 11,000 個以上のマイクロビーズを魚介類から摂取していると見積もっています。この研究の第一人者である Dr. Colin Janssen は「私たちの消化システムの中で、これらが蓄積されていく傾向にある」と言っています。「私たちはプラスチックの宿命について知る必要があります。プラスチックは細胞に取り込まれるのか?有害ではないのか?プラスチックから浸出したものは毒素にならないのか?私たちは実際に知っておくべきことを何も知らないのです。」7

懸念材料の一つは、マイクロビーズが有機汚染物質(POPs)と海水に含まれている他の毒素を永続的に引き寄せてしまうことで、これらの毒物がプランクトンやゼブラフィッシュ、エビ、アサリなどの食物連鎖を通して、人間にまで届いてしまうことです。多量のポリエチレンを経口摂取させた実験動物は癌になり、プラスチック素材は肝臓と腎臓に影響を及ぼします。8

多くの厚生部門や、法律関係者が商業用品へのマイクロビーズの使用を禁止する動きが 2017年7月に法規制を行うアメリカを含む世界各国で始まっています。9 なぜマイクロビーズが注目されているのでしょうか?アメリカでのグレート湖での調査によると、80 %のプラスチックは 1 mm以下で、それらの形は一様にして、化粧品や石鹸、歯磨き粉に含まれている“スクラブ”を示す形状でした。また、マイクロプラスチックに加え、違う種類のプラスチックの水中での劣化が問題を複雑にさせます。時々、このような微細な粒子は濾過システムを通り抜け、実際に細胞のバリアを破って人間の血管や重要臓器へ侵入してしまいます。10,11

科学による解決

Ian Robertson氏はパーキンエルマー社の材料分析科学者で、プラスチック分析の第一人者です。マイクロビーズは製品構成の 10 %に相当するとRobertson氏は言います。食品や飲料水に含まれている微細なプラスチック片を識別するのは非常に難しいです。「それぞれのマイクロビーズには特徴があるため、識別しやすいのではないいかと考えました。FTIRの技術を駆使すればポリマーとその添加物が識別できると思ったのです。」12

1944 年に最初の赤外分光装置を、1954 年に顕微IRを製品化し販売してから、パーキンエルマー社は赤外分光技術で世界のリーダーとなりました。パーキンエルマー社ではSpotlight 200i と Spotlight 400 IRイメージングシステムから、持ち運び可能、短時間の調査が可能で操作が簡単な Spectrum TwoというFTIRのラインナップを揃えています。 プロトコルとライブラリ、Spectrum Touch ソフトウエアが搭載されており、合成ポリマーであるマイクロビーズはもとより、目に見えるサイズのプラスチックから 1 mmの千分の一の大きさである 100 µm の大きさの対象物を分析することができます。

マイクロプラスチックの基を識別するのには、特に海洋環境システムの食物連鎖へのインパクトについての調査が必要です。マイクロプラスチックは、殺虫駆除剤と同じような有機汚染物質として知られています。恐ろしいことに海洋生物の食物連鎖が、私たちの食卓につながっているのです。 クロマトグラフィと質量分析装置を使用することにより汚染の識別が可能になります。マイクロプラスチックが生殖、成長、免疫反応及び生物の遺伝にどのように影響を与えるかも重要な疑問です。このような研究にはセルラーイメージング、アッセイ技術、遺伝子配列やプロテオミクスのツールが必要です。

サクセスストーリー

ドイツのフルトヴァンゲン大学の教授Andreas Fath博士が行ったライン川水質プロジェクトのケースでは、“泳ぐ教授”というニックネームをもつFath氏がライン川から集めた水のサンプルをパーキンエルマー社の製品で分析しました。Fath氏の研究に必要な装置のリストにSpotlight 200 FTIR 顕微IRシステムが入っています。

似たような研究でパーキンエルマー社のFT-IR装置が使用されている例として、ミュンヘンを拠点とするワンアース・ワンオーシャンという団体が行っている調査があります。このNPO団体は湾岸、海洋、湖やプラスチック片や他の廃棄物による海流の浄化を目的としています。この目標の追及にあたり、ワンアース・ワンオーシャンの調査チームは調査船にパーキンエルマー社のSpectrum Two FTIRを搭載しています。

「これらの二つの例は、数ある世界中の水系における様々な種類のマイクロプラスチックの識別調査に使用されている、パーキンエルマーのFTIR技術の一部です。」とパーキンエルマー社のIRディレクターRobert Packer 氏は語っており、パーキンエルマー社は自然環境の改善のためにマイクロプラスチックの分析技術の開発を進めていくと述べています。

 

*こちらの製品のお問い合わせに関しましてはweb窓口または 045-339-5861 ディスカバリー・アナリティカル・ソリューションズ部 分析機器営業本部 までご連絡ください。

 

References

  1. Brandie Weikle, "Microplastics Found In Supermarket Fish, Shellfish", CBSNEWS, January 28, 2017, accessed February 28, 2017.
  2. Donna Bellvue, "Microplastics In The Marine Environment Must Stop, UN Launches Campaign", ITECHPOST, February 24, 2017, accessed February 28, 2017.
  3. Ibid..
  4. David Mackay, "Study Finds Presence Of Microplastics in River Spey Fish," Aberdeen Press And Journal, February 2, 2017, accessed February 28, 2017. See also, Brandie Weikle, op. cit.
  5. Office Of Response And Restoration, “Plastics,” Marine Debris Program National Oceanic and Atmospheric Administration, March 14, 2017, accessed March 15, 2017.
  6. Nick Paton Walsh, "What Is A Microplastic?" CNN, accessed February 28, 2017. See also, Donna Bellvue, op. cit.
  7. Thomas Moore, "Microplastics In Seaweed Could Be A Health Risk, Experts Fear" SKYNEWS, January 25, 2017
  8. Ruth Winter, "Something Is Fishy With Microbeads,” Consumer Ingredients, March 11, 2015, accessed April 22, 2016. See also, Keith Rossiter, "Tide Turns Against Microbeads: 60 Per Cent Of Us Want Them Banned," The Plymouth Herald, April 13, 2016, accessed April 22, 2016.
  9. Paul Morden, "Sarnia-Lambton MP And Science Critic Supports Liberal Government’s Decision," The Observer, January 6, 2016, accessed April 23, 2016. Melissa Nann Burke, "Ban Sought On Sale Of Tiny Plastic Showing Up In Lakes," Detroit News, May 11, 2015, accessed February 28, 2017.
  10. Donna Bellvue, op. cit.
  11. PerkinElmer, "Growing Concerns Over Microplastics in Water", PerkinElmer White Paper, 2016, accessed February 28, 2017.
  12. Andreas Fath, "My Lab Essentials: ‘The Swimming Professor’ Andreas Fath, Selectscience", January 19, 2015, accessed February 28, 2017.