凍結された時間

縦の年表

私たちに時間旅行ができないと言ったのは誰だっただろうか?
ミラノ・ビコッカ大学の環境科学者チームは異議を唱えました。科学者達は、過去10 万年の大気組成、鉱物堆積物、海洋エアロゾル、多種の有機物および無機物がそっくりそのまま保存されているビクトリアランドの東南極氷床コアの氷標本を入手することができました。1 これらを繋ぎ合せることで、マンモスが地上を歩き回っていた頃からのここ100 万年間における氷河期と暖候期の連続によって環境がどのように変化したかをより深く理解できるようになる、と古生物学者達は考えています。未来について、悩む必要はありません。海面水位が一気に上昇した場合に世界中の沿岸地域を救うには、過去に起こった極氷の溶解を参考にすればよいのではないかと、研究者たちは考えています。2

ミラノ・ビコッカ大学では、研究者チームが南極氷床の氷コアサンプルの中に捕えられた鉱物粒子を観察するための新しい測定技術を開発しました。大気中の鉱物粒子は、“粉じん”として知られており、世界各地の乾燥した国々で発生し、世界中の大気に運ばれています。何千マイルの旅を終え、粉じんは遠く離れた南極の氷河に堆積します。このようにして、何千年分もの大気循環や、環境の状態、風の強さなどの重要な情報が保存されていきます。

氷標本の中の“粉じん”を解析するのは困難なことです。標本には限りがあり、“浮遊した過去の遺物”である鉱物の濃度は非常に低いからです。それはミラノ・ビコッカ大学の研究者にとって、貴重な氷標本をなるべく消費しなくても解析できる方法が必要だということを意味します。

解き明かされた秘密

この困難な挑戦に立ち向かうべく、ミラノ・ビコッカ大学環境科学部門のDr. Giovanni Baccolo と同僚達は、北極の氷標本を解析する際に最も良い性能を示す最先端の装置を必要としていました。最も有用な装置はSyngistix™ナノアプリケーションモジュールが搭載されたパーキンエルマー社製のNexION® 350 SP-ICP-MSでした。このSP-ICP-MS とリアルタイムデータ収集ができるソフトウェアの組み合わせにより、ミラノ・ビコッカ大学研究者チームは1秒間に10万ポイントのデータを取得することができました。これらのデータにより、一桁台のナノメートルレベルで古代の粉じんの無機組成が判明しました。3 大きさの比較対象として、人間の髪の毛の幅は80,000 ナノメートルですので、いかに小さいかがおわかりでしょう。

いままでのところ、研究者達は極微量のアルミニウム、カルシウム、けい素、鉄粒子を古代の氷コアから発見しています。NexION® 350 SP-ICP-MSにより、気候や環境に大きな影響を及ぼす粉じんの主要元素が溶存態なのか粒子態なのかを判別することもできた、とDr. Baccoloは言います。

ミラノの研究者チームはNexION SP-ICP-MSでの測定には粉じんサンプルの特別な前処理が必要ないことにも感心しており、“イオンや粒子濃度、粒子サイズやサイズ分布が元素固有の情報として分かった“とDr. Baccoloは言います。4

このような情報が意味あるものであるということにはいくつかの理由があります。例をあげると、この氷のコアから出てきた粉じん粒子のサイズと形は地球の気象、特に大気の放射特性に直接影響していることが既に分かっています。また、過去何千年前に関する新しいデータと詳細を気象のシミュレーションモデルに提供することで、現代の気候変動モデルを開発する助けとなるのです。
パーキンエルマー社は地球をよりよくしようとする8000人以上の世界の科学者達と一緒に歩みたいと思っています。南極より遠いところだったとしても・・・・

 

References

  1. EPICA Community Members, “Eight glacial cycles from an Antarctic ice core”, Nature, vol. 429, p 623-628, 2004.
  2. Amy Dusto, “Climate At The Core: How Scientists Study Ice Cores To Reveal Earth’s Climate History,” Climate News, NOAA Climate.gov, accessed November 7, 2016
  3. Giovanni Baccolo, Massimiliano Clemenza, Barbara Delmonte, and Riccardo Magarini, “Soluble And Insoluble Elemental Content In Antarctic Ice Cores,”University of Milano-Bicocca and PerkinElmer Presentation, European Mineralogical Congress, September 12, 2016.
  4. Ibid.