飲み水は安全なのか? | Stories - PerkinElmer Japan

飲み水は安全なのか?

飲料水にまつわる問題

問題があることは明白です。 飲料水の安全性の問題がニュースになるたびに、実際に自分が住んでいる地域の飲料水はどうなのだろうか?と思ったことがあると思います。

上水道には何かしら含まれており、何種類か挙げただけでも化学物質、微生物、殺虫剤、潜在的な有害物質が含まれていることは否めません。多くの水道局では、水道水について概ね100種類以上の意図的または非意図的に含まれている化合物の試験を行っており、また、すべての無機化合物、微生物、塩素系殺菌剤は法に従って100万分の1のオーダーで定期的に計測しています。 1

これは素晴らしいことのように見えますが、実際のところ、私たちの生活している世界は触媒から日焼け防止剤に至るあらゆるものに含まれる工業ナノ粒子であふれており、このナノ粒子は、つい最近まで定量が困難であったごく少量が上水道に入り込んでいます。何が変わったというのでしょう?

精確さの新基準

シングルパーティクル誘導結合プラズマ質量分析法(SP-ICP-MS) の登場により、従来の光を利用した方法に比べ、単粒子を精確に測定することが可能になりました。 2

ミズーリ工科大学ではミシシッピ川を原水とする飲料水中の二酸化チタン (TiO2) ,銀 (Ag), 金 (Au), 酸化亜鉛 (ZnO), 二酸化セリウム(CeO2)を含む無機ナノ粒子を監視するために、パーキンエルマー社製 NexION® 350D ICP-MSにSyngistix™ナノアプリケーションモジュールを付属させたシステムを採用しました。ナノ粒子は広く一般消費財に使用されていますが、これらの研究で有名なAriel R. Donovan 氏は、いくつかのナノ粒子は「比較的高い急性毒性を持つのではないか」と懸念しています。 3

化合物は有害になり得る可能性があります。そのためDonovan氏とそのチームは3カ所の浄水施設におけるナノ粒子の存在と一般的な浄水工程におけるナノ粒子の除去に関する研究を行うためにNexION ICP-MSを用いました。その際に、彼らは現在一般的に採用されている浄水システムをシミュレートするために6連式攪拌システムを用い、非常に良く管理された実験を行いました。ある段階では既知量のナノ粒子を添加した超純水を使用しました。また、ミシシッピ川の水に化合物を添加したものと添加していないもので実験を繰り返しました。すべての実験においては、実際の浄水工程をシミュレートするため、石灰軟化、凝集、殺菌を実施しました。

その結果

研究チームによると、NexION はサンプル中のナノ粒子のサイズ、サイズ分布、粒子濃度、溶存イオン濃度の検出に優れており、これらの測定を全て同時に行うことができるとともに煩雑な試料前処理もデータ処理の必要もありませんでした。

“より複雑なナノ粒子が幅広く一般消費財に使用されており、それらの環境と人の健康への影響を調査するため、試験的な研究の必要性はますます増えていくと考えらえる。” と研究チームは推測しています。 “SP-ICP-MSは試験的な研究だけではなく、水質検査の一部としてナノ粒子を迅速に追跡することも可能です。” 4

飲料水の水質はどうでしょうか? “ナノ粒子は石灰軟化、薬剤による凝集および活性炭吸着処理により、ほぼ完全に (97 ± 3%) 除去されます。”とDonovan氏は言います。 “さらに、原水および3か所の浄水場からの飲料水をSP-ICP-MS法で測定しました。浄水場での浄水工程は実験で用いた方法と同様です。その結果、河川水試料からチタン粒子および溶存チタンが検出されました。銀および金は検出されませんでした。さらに、原水に含まれるチタン粒子および溶存チタンの93%以上が各浄水場での浄水工程により除去されたことが分かりました。” 5

米国水道協会はDonovan氏とミズーリ工科大学の研究チームにSP-ICP-MS を使用した飲料水におけるナノ粒子検出法を開発したとして2つの賞を授与しています。 6

 

References

  1. Aquarion Water Company, “2013 Water Quality Report For Customers in the Greater Bridgeport [CT] System,” Aquarion, 2013.
  2. Ariel R. Donovan, Honglan Shi1, Craig D. Adams, Chady Stephan, “Monitoring Cerium Dioxide And Zinc Oxide Nanoparticles Through Drinking Water Treatments Using Single Particle ICP-MS,” PerkinElmer Application Note, 2016.
  3. Ariel R. Donovan, Craig D. Adams, Yinfa Ma, Chady Stephan, Todd Eichholz, Honglan Shi, “Detection Of Zinc Oxide And Cerium Dioxide Nanoparticles During Drinking Water Treatment By Rapid Single Particle ICP-MS Methods,” Analytical and Bioanalytical Chemistry, July 2016, Volume 408, Issue 19, pp 5137-5145. See also, Ariel R. Donovan, Craig D. Adams, Yinfa Ma, Chady Stephan, Todd Eichholz, Honglan Shi, “Single Particle ICP-MS Characterization Of Titanium Dioxide, Silver, And Gold Nanoparticles During Drinking Water Treatment,”Chemosphere, February 2016.
  4. Ariel R. Donovan, et. al., “Monitoring Cerium Dioxide And Zinc Oxide Nanoparticles Through Drinking Water Treatments Using Single Particle ICP-MS,” op.cit.
  5. Ibid.
  6. Peter Ehrhard, “Missouri S&T Student Earns Awards For Tracking Nanoparticles In Water,” Missouri S&T News and Events, February 10, 2016.