人工的ナノ素材が食糧供給に及ぼす影響を調査 | Stories - PerkinElmer Japan

人工的ナノ素材が食糧供給に及ぼす影響を調査

ディーゼル燃料、布、化粧品など、人工的なナノ素材は各種の市販品や工業製品に利用されており、その特性が環境や食糧調達に深刻な影響を及ぼす可能性があるのを御存じでしょうか。ナノ素材とは、ナノスケールで測定する非常に細かいナノ粒子から構成された素材です。(たとえば1ナノメートルとは1メートルの10億分の1を指します。) この微細な素材には、たとえば蜘蛛の巣のような強靭な糸、細菌を死滅させる能力など、他にはない利点や特性があるため、この素材はとても歓迎されています。2000年代半ばに人工的なナノ素材が普及し始めると、各分野への導入方法とそのメリットに関する研究が盛んに行われました。ところが現在、研究者はナノ素材が環境に及ぼすかもしれない様々な影響について認識し始めています。

ナノ素材導入による最大の懸念は、食糧供給への影響です。作物が大量のナノ素材と接触すると、吸収と同時にナノ素材を分解することができるか?研究者は残留したナノ素材が植物にどのような影響を及ぼし、それが食物連鎖にどのような結果をもたらすのかを調査しています。

特に懸念されているのが大豆で、動物のエサに最も多用されている原料で、人間にとっても重要な食材です。大豆は米国最大の輸出品目の1つで、サステナビリティ(持続可能性)が高いことでも人気があります。大豆は食糧供給の重要な役割を担っているだけでなく、すりつぶして天然肥料として土に混ぜて使われています。

「環境化学というダイナミックな分野の研究者にとって、今は非常にエキサイティングな時代です。私達のナノメトロロジー研究には、パーキンエルマーの機器が不可欠だということは間違いありません。」

-UTEP大学、化学学部教授、
Jorge Gardea-Torresdey博士

大豆植物へのナノ素材の影響を研究

University of Texas at El Paso(UTEP)の化学および環境科学学部が、酸化亜鉛や酸化セリウムなど、通常は日焼け防止剤や化粧品にしか含まれない金属酸化物ナノ粒子が大豆に及ぼす影響についての研究結果を発表しました。研究者はパーキンエルマーのICP-OESを使用して、粒子のサイズを測定し、そのサイズ分布、表面特性、形状、化学成分を特定することができました。人工的なナノ粒子(MNP)の種類によって特性が異なるため、環境に取り込んだときの影響も違ってきます。したがって、非常に高い精度と感度でナノ粒子を検出する分析技法が必要です。

今回の調査結果によると、摂取や吸引した場合に危険な酸化亜鉛は亜鉛に分解されることがわかりました。亜鉛は人間にとって必要な必須ミネラルのうち、微量ながら生命維持に欠かせないと言われるものの1つです。ただし、酸化セリウムは分解されず、吸収時にも人工的なナノ粒子のままでした。

酸化セリウムは大豆植物の成長に影響を及ぼし、収穫量減少、天然肥料としての機能の低下という結果を招きました。酸化セリウムを吸収した大豆を肥料として使用することで、必要な合成肥料の量が多くなるため、食物連鎖にとって大きなリスクとなります。

これまでの調査では、人による酸化セリウムの摂取が安全ではない可能性が指摘されていますが、今のところ具体的なリスクは実証されていません。

拡大する研究分野

市販品や工業製品にナノ素材が多用されるようになり、環境への影響を研究する重要性がますます高まっています。UTEPの化学学部の教授、Jorge Gardea-Torresdey博士は次のように語っています。「環境化学というダイナミックな分野の研究者にとって、今は非常にエキサイティングな時代です。私達のナノメトロロジー研究には、パーキンエルマーの機器が不可欠だということは間違いありません。」

 

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